Tokyo Rocks You #3 ルイス・カルロス・セベリッチさん

Tokyo Rocks You

音楽のない東京なんて。

2007年8月8日(水)

#3 ルイス・カルロス・セベリッチさん

シンガー/ギタリスト(フォルクローレなどラテン音楽)
(1983年より日本在住)

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トム・クルーズが"ラスト・サムライ" を
演じたように、外国人の僕が日本の歌を
歌えばいい。


まだまだ続きます「Tokyo Rocks You」。第3回は南米ボリビア出身のシンガー兼ギタリスト、ルイス・カルロスさんです。自ら率いる “Los Tres Amigos” というフォルクローレグループでの活動を中心に、ラテン音楽やラテン文化を日本に広める活動を、これまでに約25年行われてきました。
来日前は、アルゼンチンを中心に南米各地で爆発的ヒットを飛ばし、ゴールドディスクを獲得した若きフォルクローレ界のスーパースターでした。そんなカルロスさんが、ひょんなことで日本に来て目にしたもの、そして熱い南米の情熱に乗せて語られる日本への思いを語っていただきました。                                 
*インタビュー@ 西池袋公園(池袋)


English




暑いのに、みんなネクタイを締めていた。

僕が日本に最初に来たのは、1976年(昭和51年)7月16日です。記念日ですね。私は当時組んでいたフォルクローレグループのメンバーと一緒に日本に来ました。
日本に来る前に、ブエノスアイレスの日本大使館を訪ねて、日本が社会的に、経済的・文化的にどういう時代を歩んできたのか、自分が日本に行くのはどの季節に当たるのかなどを調べました。当時、外国に日本を紹介する本に、サラリーマンがみんなネクタイをしている写真が載っていました。カラフルな制服を着たOLさんたちの写真もあって、すごくカッコ良かった。プライドを持って、すごく歩き方がしっかりしていました。
それで、羽田(注:当時はまだ成田空港は開港していなかった)に着いた時は、そのとおりでした。夏なんだけど、みんな暑くてもちゃんとネクタイ締めてて、すごくカッコ良かった。姿勢がまっすぐで、歩き方もしっかりしてて、とにかくビックリしました。


人のエネルギーに満ちた東京。

羽田に迎えに来てくれたビクター(レコード会社)とマネージャーと、音楽事務所の人たちから花束をいただいて、感激しました。挨拶も丁寧で、日本を感じました。
他にも、街で着物姿の女性も見たね。素晴らしかった。初めて自分の目で本物を見ました。素敵なものがありすぎて、目が足りないくらいでした。
その次に印象的なのは、たくさんの人。今は「団塊の世代」と言われる人たちも当時はまだ若かったから、サラリーマンがとにかくいっぱいいて、OLさんもどこにでもいました。エネルギーに満ちていて「これこそがニッポンなんだ」と思いました。こういう人たちが一生懸命働いたから、ソニーがある、トヨタがある、セイコーがある、ヤマハがあるんだ、と。



日本人は3分で昼ご飯を食べる。

とにかく毎日、カルチャーショックばっかりでした。中でも日本経済の原動力であるサラリーマンには関心がありましたね。「この人たちの家族はどうなってるの?」って。働いたり、勉強してばかりじゃないはず。どういうふうに暮らしてて、何を食べているのか興味があった。
サラリーマンとかOLが、どこかのレストランに入ってものすごい早さで食べていた。驚きながら見ていると、音楽事務所の社長に言われた。「日本人はね、3分か5分でおそばとかうどんとかラーメン食べないと、いいサラリーマンにはなれない」って。びっくりしたよ。
僕たちは食事する時、昼ご飯ならだいたい1時間半くらい、ペラペラしゃべりながらいろいろと、今日のできごととか、これからのこととか話しながら食べます。でも日本人は、ぱーっと食べて終わり。
もう、どんな小さいものでも見た。初めてのことばっかりだった。日本に来るまでは音楽のことしか考えていなかったから、とにかく新鮮でした。
日本では割と人が向こうから僕たちに近づいてきました。南米では僕らはスーパースターだったから、なかなか人が近づいてこなかったんだけど、日本ではまだ「この人たち(カルロスさんのグループ)、何なの?」という感じ。でも、ちゃんと私たちの文化に合わせてマネージメントをやっていただいたから、すごく感動しましたね。               




「ニッポンどうなってるの?」

新宿みたいな遊び場は、ボリビアでは考えられないですね。向こうではそこら辺に子どもがいて、学校とか幼稚園に通ってますから、彼らに対して良くないんですよ。だからそういうお店を見かけた時はビックリしました。
制服を着た子どもが新宿を通っているわけ。そして看板を見てたの。店の外では店員さんが「きょうは安いよ!」とか「カワイイ子がいるよ!」とかね。そういうのを見たとき、「ニッポンどうなってるの?」って思った。
一方で、新幹線とかJRとか地下鉄とかがものすごい進んでて、ちゃんと時間通りに来る。レストランに入った時も、お店の人が「いらっしゃいませ!」って言ってすぐおしぼりとお水を持ってくる。私の国にはないです。「あなたは私の大切なお客様よ!」と感じられる。だから「ありがとう」という感謝の気持ちが湧いてくる。
それらのようなものは日本にしかないから、もっと根源を探るべく日本の歴史とか勉強しなくちゃと思いました。それで徳川家康の伝記本のスペイン語版を買って読んで、もっと日本が好きになりました。


運命の女性。

その時は日本に3ヶ月いて、その間に今の妻に出会ったんです。その後、当時の活動拠点だったアルゼンチンに戻りました。向こうに帰った途端にアルゼンチンでゴールドレコードをもらいました。それでまたどんどん注目されたんです。
両親からは「早く結婚しなさい」って言われていました。でも日本で出会った女性、つまり今の妻ですが、僕は最初は「友達かな」と思っていました。だって日本と南米は遠いから、恋人になったら大変なことになると思ったんです。
それで彼女と手紙のやりとりが始まって、1年半くらいそれが続いた。そしてある日彼女から「結婚してほしい」って言われたんです。僕は「幸せにしてあげる」と手紙に書いて、日本に送ったのね。 


すさまじい結婚報道。

それで彼女と結婚したんだけど、南米でみんなに「まさか!?」って言われてね。僕のお父さん、お母さん、きょうだいはみんな喜んでくれたんだけど、アルゼンチンの僕のファンは皆すごくビックリしてた。どうしてアルゼンチンの女の子を選ばなかったの、とか言われたしね。新聞や雑誌にもすごく報道されたよ。
僕は日本に住むなんて全然、夢にも思わなかったですね。向こうで、またはスペインとかアメリカとか、自分の音楽が合う国で生活しようと思ってました。そんな折にアメリカでツアーがあって、それが終わった後、クリスマスから年末にかけて休暇が取れたんですね。僕はメンバーに向かって言ったの。「奥さんの国・日本でクリスマスやお正月を過ごしてみたい」と。
それでそのまま日本に残って今に至るわけだけど、僕はここ日本で新しくスタートしたいと思ったんです。人生の新しいページを書く時、どういうページを書くか自分でも楽しみにしてるわけ。日本で音楽活動を始めるとき、そのページを良いページにしたかった。ちゃんと自分の決めたこと、自分の気持ちを裏切らないで、誰からも理解されるようなページを書きかった。だから向こうの仲間を大事にするためにも、彼らとは離れようと決めたんです。




日本は自分の国みたい。

だんだん年とってくるし、だんだん音楽の内容も変わってくる。だけど僕はかつてヒットメーカーだったから、日本でもそういう才能を生かそうと思ってる。でも、そのためには日本のことを勉強しないといけないよね。日本語とか、あとは日本の文化や習慣とか、今自分がいる社会について勉強しないと、日本で音楽活動を続けることが難しくなるわけ。    
ルイス・カルロスが、次にどんな時代を楽しんでいくか。そういう期待を自分自身に対してしたいから、これから日本の人たちへの感謝の意をこめて、パーッと良い花を咲かせたいですね。そして花を咲かすなら、日本人と一緒に咲かせたい。
日本はすごく自分に合ってる。もう自分の国だと思ってます。もう日本人はびっくりするよ。「日本人より日本のことに詳しいな」って思うでしょう。僕の中では、日本人としての気持ちがボボリビア人としての気持ちを上回ってるくらいです。


外人だって日本で頑張ってる。みんなも頑張ろうよ。

僕は最近、学校の講演を頼まれたりとか、あとは少年院にも行ってるよ。そこでも歌ったり、話したりしてる。やっぱり、僕らは同じ日本という船に乗ってて、船の中のどんな場所でも皆さん一生懸命生きてるんですよ。やっぱり、面倒見てあげないと。特にああいう少年院に入っている少年たちは、まだ育ちきってないから。
とにかく僕にはやることがたくさんある。挑戦してみたいのは、日本の童謡ですね。自分の好きな曲は何曲かあって、先生とか専門家に聞いたり、田舎に行って人と触れ合って歌を聴きながら、それらが自分の歌になっていく。いわば自分に課せられた宿題のようなものだけど、実現させたいですね。日本の歌を日本語で、日本の楽器を使って、世界に向かって歌っていきたいです。
だって「ラスト・サムライ」は誰が演じたの?トム・クルーズでしょ。だからそれと同じで、外国人である僕が日本の歌を歌えばいい。何年かけても、僕は絶対にやるよ。しかも袴で歌うからね。
日本人の心は弱ってるわけ。不安で不安でどうしようもないのよ。だから僕は「僕は外人だけど日本で頑張ってるから、みんなも頑張ろうよ!」って、音楽活動を通じて伝えていきたい。やればできるんだって。そして、みんなに良い気持ちになってもらいたいんです。
3350292_330033056.jpg*撮影:竹森 正幸

カルロスさんにとって、東京って何ですか?        

東京は素晴らしい伝統の街なの!

7年前から僕はすごくウォーキングしているんだよ。東京は全部歩いたな。歩くうちに、
本当の東京を発見した。お寺や神社、公園、学校、大学まで、この足で全部歩いた。
お寺の隣にビルがある、そんなコントラストは他の国にはなかなか無いよ。でもそれが
面白いんだよね。

東京は、文化と伝統の街です。


カルロスさん関連リンク

Los Tres Amigosのホームページ

http://www2.city.mitsuke.niigata.jp/arcadia/feelfirststory/ver.18/profile.html




Tokyo Interview (英語)

東京に住むインターナショナルな人々とのインタビュー。英語の勉強にどうぞ。
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