2007年9月22日(土)
#13 ジャグモハン・チャンドラニさん
ジャパン・ビジネス・サービス代表取締役
(1978年来日)

インドと日本には違いが数多く
あります。だけど共通点を発見
することで、人間は心地よく
なれるんです。
長〜いあごひげがトレードマークのインド人、ジャグモハン・チャンドラニさんです。実際にチャンドラニさんにお会いして、正しく紳士だと思いました。物腰柔らかく、流暢な日本語は言葉遣いがすごく丁寧で、チャンドラニさんがそこにいるだけで、辺りの空気がきれいになっていくような、そんな感じがしました。
江戸川区インド人会の会長として、また地元・西葛西で紅茶の輸入・販売やインド料理店の経営を行うビジネスマンとして、多方面で活躍されるチャンドラニさん。「インド式数学」などでインドブーム再燃の今、インタビューを通じて一緒にインドを知ることができれば幸いです。
*インタビュー@ ジャパン・ビジネス・サービス有限会社(西葛西)
チャンドラニさんのお店にGo!
新旧の同居。
私が日本に来たのは、父が携わっていた貿易の仕事がきっかけです。
父は私に、新しい市場を任せたいと考えていました。父が「日本にはインド人のライバルはまだ誰一人としていない」と言ったので、大学卒業後、私は日本に来ることになったんです。
父は日本からプラスティックの輸入などを行うビジネスをしていました。私たちは、日本へ進出すれば大きなビジネスチャンスをつかめると考えていました。
日本の第一印象は「新旧の同居」という感じでしょうか。私にとって全てが新鮮でした。日本では、新しいものが古いものに絶えず代わっていました。
インドと似ているものがたくさんある。
私が来日した当時は、日本では旅がブームでした。そしてその目的地は主にインドだったんですね。たくさんの日本の人たちがインドへ旅をして、生のインドに触れてくれました。
現在40〜50代の方から、学生時代にインドに行ったことがあるという話を聞きます。それが私たちにとっての活動基盤になっています。「学生時代にインドに行きました」とか「インドに一ヶ月滞在しました」「友人と旅行しました」などなど、彼らにはインドの思い出があるのです。
インドと日本には、違いは数多くあります。だけど違いよりも共通点を発見した時に、更に感銘を受けました。もちろん、多くの違いがありますよ。でも、それらを数えていても仕方ありません。共通点を発見することで、人間は心地よくなれるものです。これは知ってる、これは理解できる、そう感じられたらお互い気持ち良いでしょう?
挨拶の仕方や目上の方の立て方、お祭りの様式も似ています。お寺に行って祈りや貢物を捧げることも、インドに似ています。家での祝宴の仕方も私たちのものと似ています。似ているものが日本にたくさんあるんだな、と思いました。
他の生徒について行けない。
私は大学で日本語教育を受けていなかったので、来日した頃は日本語を全く知りませんでした。
日本語は、ほぼ独学です。来日してから初めの3ヶ月だけ、日本語学校に行きました。その学校には、当時インド人はわずかしかいませんでした。私はクラスでたった一人のインド人で、多くは台湾やマレーシア、シンガポールから来た華僑や中国人でした。我々がひらがなとカタカナを勉強していた時は、彼らもそれらを知らなかったので、皆同じレベルでした。
しかし、いざ漢字となると当然彼らは知っていました。ここで彼らに差をつけられたんです。「これ以上前には進めない!」と感じました。彼らにとって漢字は簡単だけれども、私には未知のものだったからです。だから先生に「私はついて行けません。これ以上ここにいたら、みんなの足を引っ張ってしまいます」と言って、学校をやめました。
ビジネスは簡単じゃない。
私は現在、日本で様々なビジネスを展開していますが、インド人が日本でビジネスをやるのが難しいというわけじゃなく、どの国においてもビジネスは難しいんです。ビジネスは決して簡単なものではありません。
ビジネスとは基本的に、価値を生み出すことです。どれほどの価値を全てのお客さまに与えられるか、それは簡単なことではありません。しかし一方で、もし困難やトラブルがあるとすれば、その原因の半分は私にあります。なぜならば、お客様の要望に応えられなかったからです。
皆さんが私のところに来てある物が欲しいと言ったとします。私がそれを与えたつもりでも、もしそれが皆さんの望む物ではなかったとしたら、当然そこでトラブルが生じますよね。売る側は買い手の要望に応じなくてはなりません。そうでなければ、買う方は不満を抱きます。それは世界のどこへ行っても同じことなんです。
リスクを負うことを躊躇わず、一生懸命働くことを望む限り、日本はとてもいい国です。降りかかる困難は乗り越えなくてはなりません。もし外国人が日本で働きたいのなら、日本語や日本の文化を理解する必要があるんです。

東京の「リトル・インディア」西葛西
インド人は、家で楽しい時を過ごしたい。
日本に来るインド人は、若い人が中心です。彼らは自分たち同士で楽しもうと、お互いの家に集まります。日本人はパーッと楽しもうって言う時にはバーやカラオケボックスに行きますが、インド人は友人の家に行きます。日本人がカラオケボックスでするようなことを、インド人は夜通し友人の家でするんですね。日本の人たちは「部屋にいるくらいだったら、カラオケバーに行けばいいんじゃない?」と思うかもしれません。
これが我々と日本人との違いなんです。時間がかかるかもしれませんが、ぜひみなさんにご理解いただきたい。インド人は家にいたいのです。
私たちは、日本人の隣人にインド人への理解をお願いする前に、まずは説明することを心がけました。日本人に対してではなく、インド人にです。家で夜中にパーティをする時は、必ず音楽のボリュームを下げる。そうすれば、周辺の日本人の睡眠の邪魔にはならなくてすむ、と。その他にも「部屋の壁は薄いから気をつけるように。他の部屋の人たちが就寝中です」といった内容のメールをインド人住民たちに送ります。
幸いにも、日本人の方々は我々のこうした慣習を理解してくれています。もちろん、怒って電話でうるさいと言ってくる人もいます。また、日本人の方々が我々の所に来て「こういうことがあったので、どうにかしてくれませんか」ということがあります。その時はきちんと対処しますから、それほど大きな問題には今のところなっていません。
基本的に日本人の方々は理解を示して下さっています。感謝の気持ちでいっぱいです。
インド人は孤独。
我々インド人はここ日本では長時間働いていて、なかなか友人と会えません。だからいざ友人にばったり会うと、うれしさのあまりその場で話し始めてしまいます。みんな忙しいので、家に行って話すということは無理なのです。だからたとえそこが道端でも、出会ったら話し始めてしまうんですね。
他の外国人もそうかもしれませんが、ここ日本ではインド人は孤独です。だから、お互いに会った瞬間に話がしたくなるんです。日本の人でも、一人暮らしをしている独身の人とか家族と離れて暮らしている人なら、友人に会いたくなりますよね。それと同じで、ある日突然友人が道を歩いているのを見かけたら、「元気にしてる?今何しているの?」と言うはずです。


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