2008年6月25日(水)
#5 A-Life
緑化運動チャリティーイベント(2008年7月24日・25日@表参道FAB)
「どこまで自分が、目の前にいる人のために動けるか。A-Lifeはその哲学を実際に形にできる場なんです」
今回のTokyo Rocks Youは、7月24日〜25日に表参道で行われる緑化運動チャリティイベント「A-Life(ア・ライフ)」のご紹介です。
社会派劇団と自らを位置づけ、人々の生活の暗部に光をあてたテーマで毎回舞台作りを行う「演劇集団Roghouse(ログハウス)」と、"シアトライブ"と銘打った音楽と演劇を融合させた独自のステージワークを展開している音楽ユニット「Rose in many Colors」が、自分たちのやり方でアフリカでの緑化運動に協力しよう!と意気投合し、プロジェクトはスタートしました。
緑化、環境問題・・・その大切さは理解していても、実生活レベルではまだまだピンと来ないテーマかも知れません。でもこのプロジェクトには、企画者たちが日々の生活の中で抱いた様々な思いが反映されているのです。
*インタビューwith
仁瀬由深(ひとせ・ゆみ)さん(写真左:「演劇集団Roghouse」主宰・演出)
Alphaさん(写真右:「Rose in many Colors」ボーカル)
* インタビュー@ Roghouse稽古場 (江東区住吉)
English
舞台はライブハウス。
仁瀬:Roghouseで昔公演した舞台で、ライブハウスが舞台になっているものがあったんです。それはちょっと突拍子もない内容で、幽霊が出てきたりするんですけど、今回の「A-Life」も舞台がライブハウスなので、その舞台の続編で。初めてみた人にとっても面白く、前回見てくれた人は「懐かしい!あったな、そういうの」みたいな感じで楽しめるように、と思ってライブハウスのエピソードを絡めています。
設定は、そこのライブハウスで緑化運動イベントをやるというもので、主人公のライブハウスのオーナーは、37〜38歳という設定なんですけど、アフリカにかぶれてしまって、そこのライブハウスは他の人と共同経営しているんですけど、もう一人の人に任せてしまって「僕はアフリカに行きたい、チャリティーに生きていきたい」みたいなことを言って。それで最終的には、困っている人のもとに飛んでいくことももちろん大事なんだけれども、そうではなくて、自分が今いる場所でどう人助けをしていくのか、ということが大事なんだというところに持っていこうかなと。自分の今の足場の上に立って結果を出していくことの大切さに、主人公が気づいていくという形にしようと思います。
私がすごく好きになってしまったので、彼女の声を。元々のきっかけはそこです。
仁瀬:Rose in many Colorsの良さもしっかりと堪能してもらいたいんです。彼女たちもステージで(俳優さんたちなどとの)コラボをやっていたんですけど、私は元々彼女たちのライブを見に行って、私なりに彼女たちのステージを楽しく演出してみたいなと思ったんです。それで彼女(Alphaさん)に働きかけて、彼女には私たちの舞台を一回見に来てもらって、内容的にも気に入ってもらえたので、「じゃあコラボしましょう」と。
元々ウチの劇団「Roghouse」も、俳優さんとかスタッフさんとかはコラボなんですよ。Roghouseの劇団員だけでやっているものではなくて、いろんなところで活躍されている方たちも集まって舞台を作るという、元々コラボのスタイルだったんです。それでテーマの中心は、「人間の心の暗部に光をあてる」ことです。苦しいことであれ何であれ、誰も知らないところに光が当たっていくような、それらをさらけ出すんじゃなくて、すくいとっていけるような作品を作っています。問題の当事者が見に来たら「わかってくれる人がいるんだ」って納得できるような、そしてそういう問題があることを知らなかった人が見たら「そういうことで苦しんでいる人がいるんだ」って思うような、そういう「人間」に向かっていく作品を毎回公演しています。
それでRose in many Colorsの歌を聴いて、彼女の歌が私を呼んでいる感じがしたんです。のどが渇いた時に水を欲しがる、みたいな・・・彼女たちには独特の世界観があって、私が好きな世界観にすごく近かった。「一緒にやってみたい」というのがすごくあって、それでお話をして。
Alpha:Rose in many Colorsはずっと役者さんと一緒にステージを作ってきました。同じ劇団員の方からの人のつながりで俳優さんの人脈が大きくなっていって、ストーリー仕立てのライブ「シアトライブ」って名付けたものをずっとやってきていたんですが、一回活動を停止したんですね、1年半。その間私は別のソロ活動とかをやっていて、その後に復活ライブをしました。その復活ライブはもっと演劇仕立てにしようということで、結構たくさんの役者さんを使わせていただいたんです。その役者さんの中に、仁瀬さんの舞台にも出演している役者さんがいて。
音楽と演劇の融合、Rose in many Colorsの「シアトライブ」。
仁瀬:その人は外部の俳優さんですが、そのつながりで、その時初めて彼女たちのライブを見させてもらいました。それが去年の7月です。
Alpha:ちょうど私たちも、「新しいものを生みたい!」という思いもあって、ひとつの劇団さんだけじゃなく別の人たちともコラボしたい、というのもあったので、お声をかけてもらった時は「やりたいな」と思いました。また新しいことができるかな、と。
見に来ていただいたその日にメールをいただきました。
仁瀬:私がすごく好きになってしまったので、彼女の声を。元々のきっかけはそこです。私が彼女のファンになったということなんです。
去年、『さぼてん2007』という作品をやっていたんですね。その作品に出てくれていたのが、Alphaちゃんのステージにも出演していた俳優さんで、去年の6月に1回公演をやって、7月にもう一度同じものをやる予定だったんです。それで6月の公演は、まだテーマソングが決まっていなかったんですよ。その時は私は演出ではなく演出補でした。子供のことがあったので(仁瀬さんは2歳の娘さんを持つお母さんでもあります)。脚本を書いたのは私だったんですが、「是非この曲を使ってくれ!」って演出担当にお願いして、Roseにも「使わせて下さい」って言ってお願いして、それで7月にもう一回公演した時に、主題歌に使ったんです。
Alpha:『Sincerely yours,』という曲です。
仁瀬:稽古場でこの曲を流した瞬間に、役者たちの空気が一変してしまったという・・・そのくらい、私たちの作品とシンクロしていました。
(『さぼてん2007』・・・「復讐と人間的再起をかけて、テロを仕掛ける少年たち。混乱する関東一円。家族・友達・恋人・・・バラバラになった絆は再びつながるのか」*RoghouseのHPより抜粋)
環境省を目指していた。
Alpha:大学ではもともと環境問題を専攻していたんですけど、大学1年生のころにRose in many Colorsでの活動が始まったので、エネルギッシュなうちに音楽活動を一生懸命やろうっていうことで、そっちの方向にどんどん進んでいったんですけど、もともと環境省とかに入りたくて勉強していたので、今回のイベントではそこがうまくクロスしたな、と思います。
もともと環境問題にはすごく興味がありましたね。小学生の頃に獣医さんになりたかったんですよ。でも世界の現状をいろいろ見ていると、獣医さんになりたいというのはあまりに考えが狭いというか・・・そうじゃなくて、もっと広い範囲で苦しんでいるものをしたいという思いが徐々に大きくなってきました。飼われているものの愛護ではなくて、野生動物の保護をしたいと思うようになったんです。
音楽活動の方は、Roseのキーボード・打ち込み担当のOgawara Shusakuがボーカルを探していて、私が仮歌を歌ってあげたのがそもそものきっかけです。受験期だったんですけどね。そしたらレコード会社が結構良い反応を示し始めて。それで彼と一緒に音楽を作るようになって、違う方向に行っちゃいました。
左がOgawara Shusakuさん。
大学2、3年の頃から音楽活動が本格的になったので、もう単位を取るのに必死!みたいな。それでも頭の片隅には環境問題はありましたね。私は口うるさいですから。家族にも「本当に口うるさい人だね」って(笑)言われるくらい「電気を消せ」とか「もったいない」とか、すごいうるさかったんです。
大学受験の時から実家を出ているんですけど、それでも周りにはウルサいですね。「ポイ捨てするな」とか。でも歌にそういう内容のことを入れることはしてなくて。そういうのって結構おこがましいというか、歌に入れちゃうのはちょっと違うかな、というのがあったので。だからこのイベントは本当に良い機会ですね。
役者の死。
Alpha:仁瀬さんとの打ち合わせの中で、何かメッセージを考えようかとか、あまりにも軽々しくチャリティーを扱うのもどうか、とか考えて、自分の土台としてあるものをテーマにするなら、やはり緑化かな、と。そういうことを仁瀬さんに振ったんです。
仁瀬:私が「チャリティーをやりたい」と言った大本のきっかけは、私が18〜19歳の時、まだ女優をやっていたころです(仁瀬さんはRoghouseを旗揚げする前に、文学座やNINAGAWA COMPANYで演劇経験を積んだ)。俳優活動で儲けたお金でアフリカに学校を建てたかったんです。私ミーハーなんです、多分。オードリー・ヘップバーンが女優業で得たお金をそういうことに使ったという話を聞いて、私はいたく感心してしまって、「私もそうなろう!」みたいな(笑)。まだまだ10代なので、すごく単純にね。当時は実家から東京に出てきて、自分だけのために生きているのにすごく抵抗があったんです。「私はこのまま、自分の好きなことだけやっていていいんだろうか?」と自問自答していました。私は役者バカで、役者しかできなかったので、自分の心の中のバランスを取るのに、オードリー・ヘップバーンがやっていたことが、自分のためだけに生きている私のバランスを取るのにすごくふさわしい思想だったんですね。
それで彼女(Alphaさん)と知り合って「コラボレーションをやりたい」って言った後に、当時公演していた『さぼてん2007』に出演してくれていた男の子が、事故で亡くなったんです。彼は24歳だったんですけど、普段から地域の子供たちのためにボランティア活動をずっとやっていて、ボランティアとお芝居をずっとやっていたような感じの人でした。それで皆、彼の死をきっかけに自分と向かい合った時期があったんですよね。私もそのことがあったから、何かボランティアとかチャリティーをやりたいなって、昔の思いが再燃してきて。
それで彼女とイベントの話をいろいろしていた時に、「チャリティーって・・・どうかね」って。その時はもう、人道支援のボランティアをしたいっていう意識があったので、環境というのは、私自身まだ勉強していなかったし、「環境=人間ひとりひとりのこと」っていう考えにまだ至っていなかったんですが、彼女から「それなら環境をテーマにやりましょう」って言ってくれて。それでようやく「そういうバックボーン(Alphaさんが昔から環境問題に関心を持っていたことなど)があるなら、知識があるなら、やりましょう!」みたいな感じになって、ようやく思いが一つになりました。
A-Lifeの"前作"、Roghouseの『蝉便り』
ワンガリ・マータイさん。
仁瀬:私の中では、環境と言ったらアフリカしか出てこなくて(笑)。それでワンガリ・マータイさんのことを知ったのが2006年でした。その頃にマータイさんがされていることをよく聞く機会があって、その時「やるんだったら、彼女が提唱しているグリーンベルト運動に関わる形でやりたい!」って思いました。(*グリーンベルト運動:ケニア出身の女性環境保護活動家であるワンガリ・マータイさんが、1977年に貧しい女性たちと共に始めた植林運動。A-Lifeはこの運動に、興行収入の一部を寄付する)
私自身が2歳の娘を持つ母親なので、マータイさんがされてきたことにすごく共感するんですよね。彼女自身も母親だし、それで地元の女性たちと一緒に地域貢献をしながら、女性たちの生活をも潤わせ、教育をするっていう・・・環境問題と、人間に向き合っていくことは根っこが一緒であるっていうことを示したのがすごいなって。だから半ば強引に、みんなに我がままを聞いてもらって、グリーンベルト運動へのチャリティイベントという形にした、という感じです。
私には哲学を教えてくれる先生がいるんですが、A-Lifeはその哲学を実際に形にできる場なんです。哲学というのは、本当にシンプルに言ってしまうと「どこまで自分が、目の前にいる人のために動けるか」ということを問われる世界なんです。自分がダメにならないでね。自分がダメになったら、もう人に尽くすってことは出来ないから。哲学は「自他のためにどれだけ動けるか」ということなんです。
現実と架空の境目を無くすような公演にしたい。
仁瀬:今回のA-Lifeは、ライブハウスで実際にアフリカ関連のイベントをやるっていう設定なので、お客さんは「あれ、これってリアルの話だよね?」「いや、架空の話だよ」って、そういうごちゃまぜになるような感じにしたいと思っています。だからライブパフォーマンスのところでも、
Rose in many Colorsには本当のライブのMCをしてもらいます。緑化運動のことなどももちろん話してもらいますけど、内輪の話とか、舞台の内容に絡んだ話は一切しない。彼女たちの単独のライブが、そのライブハウスで行われているっていう感じで、Roghouseは劇の中で、そのライブの裏側を見せる。架空の話なんですけどもね。
Alpha:だから私は、ちゃんと歌います。
仁瀬:普通に、ライブをやっている感じにします。本当に、現実との境目が無いようなコラボをやりたいです。
それで本当にありがたいことに、グリーンベルト運動に参加されていた方が協力して下さって、映像提供もしていただけるので、プロジェクターで映像を流します。そして私たちが公演をする表参道のライブハウス「FAB」のスタッフさんにも、劇中で出演者が着るスタッフTシャツを実際に着ていただきます。本当に、現実と架空の境目が無い感じです。
コラボっていろんな形があると思うんですけど、私としては歌劇でもミュージカルでもない、歌と演劇がそれぞれ独立した形でコラボすることができないかなって、ずっと思っていたんですよ。だから今まで実験的に、アーティストさんに芝居の前に歌っていただいたこともあったんですけど、今回は本当に、Alphaちゃんが柔軟なので。
発展途上の自分たちが出来ること。
Alpha:今何かを目指している人って、私たちくらいの年代の人たちじゃないですか。ある程度社会的地位や余裕があって、チャリティー運動に寄付をポンと出来るっていう人が中心になってやるのではなく、今まさに夢に向かって走っている人たちが一緒になって何かやろうよっていうところが、私たちが発信することの一番大きい意味だと思っています。発展途上の私たちが、地球と一緒に、人類と一緒に、みんなで!っていう感覚です。それで若者の中に、そういうことに共感してくれる人がいればいいなと思います。
仁瀬:ある世代から下の子たちって、共感するのが上手い。シンクロするのが上手いんですよね。例えばクラブミュージックでも、一定のリズムに合わせて体を揺するだけのことをものすごく楽しむっていうことを得意とする世代じゃないと流行らないじゃないですか。そういう人たちが増えてきて、みんなが「楽しいね!」って言っている間に、良いことやろうよっていう感覚ですね。それが ”お客さんを含めた参加者全員が「楽しかった!」と思えることがそのまま社会貢献になる"(A-Lifeパンフレットより)ということです。
Alpha:ストイックに「それは違うんだー!」みたいな(笑)そういうんじゃなくて、それとかオシャレにも気を遣わずに「服に金をかけるくらいなら木を植えろ」とか、そういう団体じゃなく、自分は自分として輝いていられて、一方で社会貢献もできるじゃん!ていうのが一番いいなって。だって表参道ってそういうことができる街だと思うし。普段の自分で、無理せずに。
仁瀬:片寄っちゃダメなんですよね、何かの役に立つことって。
Alpha:柔軟に。自分が善か悪か分からないけど。
仁瀬:すごく頑張るんですけどね。頑張らなきゃ社会貢献はできないけど、ありのままの自分のまま、頑張る。
A-Lifeは、これからも続いていく。
仁瀬:まるでパズルのピースが合うみたいに物事が進んできています。困難もいろいろあるけどね。
Alpha:そうですね。でも盤石の態勢でやっていると、良いタイミングの時に出来るんだろうなって思うし。今できる最高の物を作りつつ、次に備えている活動なんだなって。
仁瀬:ちょっとまだ隠している企画があるんですけど、実際に彼女(Alphaさん)が人間と植物のハーフという設定です。特殊メイクもします。その子は歌しか歌えないんです。彼女は人間のDNAを持っていて、そのDNAの中に「歌が好き」っていう情報が埋め込まれています。それで他の人間たちの「悲しい」とか「辛い」っていう気持ちに共鳴して歌い始めてしまうっていう・・・
スポンサーさん、よろしくお願いします(笑)ご協力があれば、この企画ができるから。
Alpha: 今回の公演が終わったら、Roseとログハウスがそれぞれ別の人たちとコラボして、”子ども”を増やしていって、その状態で再び私たちがコラボして・・・という活動をしながら幅を広げていくんじゃないかと思います。
仁瀬:根本はひとつですよね。「芸術を通して、社会貢献をする」ことで、いろんなアーティストたちと作品を作り上げていく。今回もある武道家さんに書を書いてもらったり、A-LifeのWebも4人くらいの人たちが作ってくれたり・・・とにかくアートと呼べるものに関わっているいろんな人たちが集まって出来ていく企画だと思っているので、何か人のためにやりたい!という思いがあって、なおかつ芸術活動ができる人であれば誰でも参加できるよ、みたいな。
この2つの舞台が、どう融合するのか?
A-life本番に向けて、意気込みをお願いします。
仁瀬:「初心忘れるべからず」だと思います。
自分がイイと思ったこと、楽しいと思ったことを通して社会貢献していく。一人の人のためになることをやっていく。子どもたちのためになることをやっていく。その思いは子どもを産んで強くなりました。
元々そういう考えはあったけど、頭で理解していたことが、心で思えるようになりました。
Alpha:意気込みはスゴイですけども、言葉にするとチープになりますね。
だから言葉にできません。見てもらうしかないですね。
仁瀬:楽しんでいただきたい!(笑)
A-Life、「一個の命」ということで。
*A-Life Vol. 2 ー不二(ふに)ー
2008年10月23日(木)〜26日(日)
@調布市せんがわ劇場
笙や尺八、三味線などで奏でる現代音楽と現代劇のコラボレーションです。
A-Life関連リンク
A-Lifeホームページ:
http://a-life2008.com/
Rose in many Colorsのホームページ:
http://www.rose-in-many-colors.com/
"Rose in many ColorsのMySpaceのページ:
http://www.myspace.com/roseinmanycolors
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