東京対談 #25 ドナルド・ノーディング

東京対談

あなたに会えてよかった。

2009年7月27日(月)

#25 ドナルド・ノーディングさん

ドナルドさんの声が聴けます!

オーガニック製品認証機関「エコサートQAIジャパン」代表
(1988年に来日)

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発展途上国での有機農法の普及に取り組みたい。そして世界中の人々の暮らしを良くしたい。
それは決して不可能なことでは
ないんです。


最近、日本ではオーガニック製品への関心が高まっています。日本人は昔から自然の美しさを愛でてきた民族だと言われていますし、中でも女性は健康で美しい肌を保ちたいと願っています。このことが、人間や自然にやさしいオーガニック製品が日本で受け入れられている理由だと思います。
オーガニック製品認証機関を運営するドナルド・ノーディングさんにお会いしたのは、奥さまのエロック・ハリマーさん(川崎市外国人市民代表者会議の副委員長)にインタビューさせていただいた時でした。ちょうどその頃、オーガニック製品やフェアトレードに関する本を読んでいて、それらの問題に個人的に興味を抱いていました。
ドナルドさんの経歴と哲学については後半でじっくりとお伝えするとして、まずは外国人であるドナルドさんが同じく外国人である奥様と日本で暮らすことをどのように感じているか、そして奥様が取り組まれている外国人支援活動をどのように考えているかについてお話いただくことにしたいと思います。

*インタビュー@ Cafe Du Monde NOCTY溝口店(川崎市高津区)

*翻訳協力:NPO法人セカンドスペース



English



日本は「中立国」

私の妻であるエロック・ハリマーはインドネシア人、そして私自身はアメリカ人です。だからインドネシアへ行けば私が外国人、そしてアメリカへ行けば彼女が外国人になります。だけど2人とも日本にいれば、ここでは2人とも外国人です。ここはいわば私たちにとって「中立国」なんです。2人とも日本語で話し、2人とも外国で暮らす外国人です。そういう意味ではとてもバランスがとれています。
日本は住み良い場所です。安全で、交通機関や医療保険制度が発達し、チャンスがいっぱいあります。さらに今では、経済的な観点からも、私たち夫婦は日本にいられてラッキーなのです。
川崎の外国人支援組織(川崎市外国人市民代表者会議)での妻の活動は素晴らしいと思います。自分も参加したいくらいです。あの組織は川崎市だけではなくあらゆる地域にあってほしいです。少数派の意見を自治体の運営に反映させる良きモデルです。私は妻の仕事を誇りに思っているし、このような制度のある街に住んでいることを誇りに思っているんです。

*ドナルドさんの奥様、エロック・ハリマーさんご自身や、川崎市の外国人支援への取り組みについて
知りたい方は、 こちらをクリック!



極東を目指して。

私はアメリカ・ウィスコンシン州から就労ビザで来日しました。当時私は日本のことは何も知りませんでした。日本語も全く話せませんでした。だけど、住んでみたい国でした。西洋ではない国、しかも英語圏ではない国に住みたかったのです。
私はアメリカ生まれのアメリカ育ちですが、アメリカや西洋文化という枠組みの外に出たいと思いました。でも選択肢は多くはありませんでした。非アメリカ、非西洋、非英語圏、しかも近代的な国に住みたいと思っていたわけですから。だけどそのことについて深く考えてはいませんでしたから、香港やシンガポールに行くことまでは思いが至りませんでした。インスピレーションのようなものですね。大学の同級生に「日本に行きたくないか?」と聞かれ、イエスと答えました。彼も日本に来たがっていたのですが、結局来ませんでした。私は日本に1年間だけ滞在するつもりでした。


私をオーガニックに導いたもの。

日本に来る前、私は学生でした。私は11歳か12歳の時から働いていました。毎年夏にアルバイトをして学費を稼いでいたんです。23歳までそれを続けていましたから、アメリカで10年以上働いた経験があることになりますね。フルタイムの労働者としてではありませんが、ほとんどが農場での仕事でした。
高校生の時、環境保護についての1冊の本を読みました。その本からはすごく影響を受けました。その本を読んで、高校でバードウオッチングの授業を取りました。
鳥たちは自然の中で生きています。鳥について学んで考えさせられたのは、農地や森林に散布される化学薬品が及ぼす鳥の生息数への影響です。つまり、鳥の食べ物が影響を受け、おそらくは人間も影響を受けるということですね。逆に言えば、鳥たちにとって良いものは人間にも良いのです。後にこのことが、私に有機農業への関心を抱かせたんです。


日本でキャリアを積む。

日本に来て1年経った1989年当時、アメリカ経済はよくありませんでしたが、日本はバブル経済を謳歌していました。なので私はもう1年、日本に滞在することにしました。私が国を出た頃のアメリカは不況でした。そのこともアメリカを出た理由の一つなんです。結局日本には今でも住んでいるわけですが。
日本に来た頃、私はある企業で研修者向けの英語講師として働いていました。2年間そこで働き、それから日本の英字新聞である「朝日イブニングニュース」で新しい職を見つけました。そこでは1年半働きました。その後、オーガニック食品を扱っている小さな商社に転職し、そこで約3年間働きました。
しかし給料があまりよくなかったので、就職して2年後には副業を始めようと思いました。少ない給料を補いたいと思い、サイドビジネスを始めたんです。


独立すべき時が来た。

そのサイドビジネスとは、日本国内で「エージェント」を欲しがっている企業に向けたマーケティングサービスです。貿易には必ず輸出側と輸入側がいますよね。私の仕事の場合、輸出側がアメリカで、輸入側が日本です。物理的な距離があるので、双方が直接会って話すことはできません。つまり、輸出側には日本国内にアメリカ人スタッフがいないのです。だから輸出側は輸入側を否応無く100%信頼しなければならない。すごくアンバランスな関係でしょう?
だから輸出側と輸入側との関係のバランスを取るために、日本国内に必要なのが「エージェント」なんです。そして輸出側のアメリカ企業が私を雇ったんです、アメリカ人で日本に住んでいる私をね。副業としてアメリカのオーガニック製品認証企業のエージェントになったんです。それが今では私のビジネスになっています。
この新しい仕事をフルタイムの本業にできるよう会社と交渉し、我々は合併して新たに会社を作りました。その後新しいパートナーを迎え入れ、会社を再編して、今に至ります。


オーガニック食品は普通の食物より安くなる。

日本の文化は本当に興味深いですね。日本人は食べ物に対しての要求が多く、しかも要求の基準が高いんです。だから日本はフードビジネスにはふさわしい国だと思いますよ。多くの日本人が食物の価値を正しく理解しますからね。
オーガニック食品は高品質なので、価格が高めになりがちです。なぜなら環境に配慮した農法はお金がかかるからです。少々高価な有機食物ですが、農地に散布されればやがて水に流れ出てしまうような化学肥料を使っていないので、農業に適しています。農薬で汚染された水は川に、川は海に流れ出て、やがて公害を引き起こすでしょう。しかし有機農業では公害は起こりません。社会にとって、より価値のあることなんです。
このような価値は、通常の農作物の価格には含まれていないわけですから、今のところはそちらのほうが値段は安いです。しかしそのうちに通常の農作物は、化学肥料やガソリン価格の上昇を受けて有機農作物と同じぐらいの価格になるか、もっと高価になるでしょうね。農作物の価格は今のところは人為的に安く抑えられています。しかし燃料価格が高騰するにつれて、農業に従事する人たちにとっては、今後普通の農作物を安く販売するのは難しくなっていくでしょうね。


世界中に指導プログラムを提案。

人は安い物を買いたがります。だから人々の考え方を変えるにはとても長い時間が必要です。オーガニック食品の生産は機械に頼らない分、多くのマンパワーを必要としており、そのマンパワーは人件費となって製品価格に反映されます。だから高い。でも、もしたくさんのマンパワーが安価で確保できれば、オーガニック食品は今よりも安くなるはずです。だから有機農業は人件費の高い先進国よりも、人件費の安い途上国の方がより適しているんです。
私が本気で支援したいのは、途上国での有機農法の促進です。なぜなら、それらの国の農地や土壌の質の向上や人々の生活の向上、ひいては世界中の全ての人々の生活を良くしていくことは、決して不可能ではないのですから。
他にも、有機農業でCO2の排出を減らすことができます。通常の農業で発生するCO2を、有機農業では15〜25%以上も減らすことができるんです。有機農業は地球温暖化を防ぐ本当にいい方法なのです。今、私はそれに取り組んでいます。
アフリカや南米、アジアにはたくさんのクライアントがいます。我々はオンラインの多言語指導プログラムの作成に取り組んでいるところです。このプログラムで有機農業とオーガニック製品認証について学んでいただくことができます。我々の会社はこのシステムを日本の有機農業育成のためにも作っています。今はまだ英語だけですが、日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語での指導プログラムも作る予定です。こうすれば、世界中のほとんどの国に我々の指導プログラムを普及させることができるのです。


途上国を、もっとオーガニックに。

私の長期的な目標は、すべての途上国の有機農業が占める割合が、その国の農業全体の10%以上になるようにすることです。ちなみに日本の有機農業の割合はたったの0.19%。これは技術的な問題ではなく、農業の構造そのものに原因があります。だから当面は、日本の有機農業の割合を上げるための活動はしません。私たちは途上国の農業をもっと有機化することに力を注いでいこうと思います。そのうち日本の農業は自然に有機化していくでしょう。日本人は食べ物にすごく気を遣うので、オーガニック食品の需要は今後高まるはずだからです。
多くの場合、途上国では種や肥料を買うお金がありません。それらの国々では化学薬品は使われていませんが、問題は、途上国でまだ有機農法そのものが知られていないことです。だから誰かが教えなければならないんです。
私の目標は、現地の農業指導者に有機農法を教えることです。例えば私自身が、マラウィの農民に直接教えるのではなく、マラウィで農民を指導する農業指導者に有機農法を教えたいと思っているんです。農業に従事している人たちの中には、こういった農法を知りたいと思っている人もいると思います。だけど彼らには情報がない。我々なら、有機農法について知りたいと思う人たちに、オンライン指導システムを通じて安価で情報を提供することができるんです。

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ドナルドさんにとって、東京って何ですか?

東京は第2のふるさとです。それにここは妻がいる
ところです。だから私はここにいるんです。
私はここでたくさんのことを学びました。私にとって
東京は学校のようなもの。人生の学校ですね。



ドナルドさん関連リンク

エコサートQAIジャパン:http://www.qai.jp/

東京対談#24 エロック・ハリマーさん: http://www.myeyestokyo.com/aboutme/Interview/taidan/pg47.html


もっとドナルドさんのことを知りたければ・・・ 

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