舞台は世界だ!#7 Jinx_K_Miyao(宮尾仁一郎さん)

舞台は世界だ!

いざ、大海原へ。

2007年10月14日(日)

#7 Jinx_K_Miyao (宮尾仁一郎さん) from Los Angeles

ドラマー(1998年来米)

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僕は人を感動させたい。
そのためにも僕は
一生勉強したい。


ニューヨークから約5時間のフライトを経て、アメリカ大陸の反対側、ロサンゼルスにやってきました。ロサンゼルスでの対談お一人目は、LAで活躍する若きドラマー、Jinx_K_Miyaoこと宮尾仁一郎さんです。
「音楽には"人間力"が絶対に必要」と言い切る宮尾さん。テクニックだけではない、人としての成長がなければ、良い音楽なんてできない。だから僕は、一生勉強し続けるんだ・・・こういう言葉が聞けるから、人との出会いは楽しいし、やめられないんです!


* インタビュー@ スターバックスコーヒー(リトル東京)



English




適当な大学に行って、大学では遊んで、適当に就職して・・・

ここロサンゼルスでは、セッションとか、たまにジャズのヘルプメンバーとして演奏しています。バンドは特に組んでいません。レッスンを受けたり、たまにドラムを教えたりしています。
僕は高校を卒業してからこっちにいるんですけども、僕は日本で育って、普通の高校生だったというか、卒業後のことも特に何も考えていなかったんですよ。別に夢も無く、どこか適当な大学に行って、適当な学部に入って、大学の4年間は遊んで、適当に就職して・・・それぐらいしか考えていなかったんです。それで日本の大学を受けたんですけども、全部落ちました。
その時、たまたま姉がこっちの方に先に留学していたんですよ。その時、姉から「何もやることがないんだったら、ちょっとアメリカに来てみない?」と提案されました。それで何となく「行ってみようかなー」みたいな感じでアメリカに来たんです。


「今からでも遅くない」

こっちの学校のシステムって、入ってから自分のやりたいことを選べるじゃないですか。日本の大学なんて「もう受かるところでいいや」ってことで経済学部とか商学部とか、どこでも受けますよね。だからアメリカで、初めて自分が何をやろうかと選べる立場に持ってこさせられました。僕は高校のとき、遊びでですけどバンドでドラムをやっていたりして、当時はミュージシャンになるなんて、自分は幼少の頃からやってるわけじゃないし、音楽っていうものは小さい頃からやっているものだと思っていたから・・・。でも、初めて自分で選べる立場に立って、「今からでも遅くないのかな」と思って、ドラムを真剣にやってみようと考えはじめたんです。


田舎に送り込まれて、初めて自分について考えた。

僕がアメリカで最初に行ったのがテネシー州のナッシュビルという所なんですけど、カントリーミュージックが盛んな所なので周りにミュージシャンがいっぱいいました。だからとりあえず音楽を習ってみようかな、と。そのうち語学学校で英語を勉強してTOEFLも受けて、カレッジにも行ってみたいと思って、それでカリフォルニアに移ってきました。
その当時は若いし、音楽を学ぶなら、まずはロックからと思って、それでカリフォルニアに憧れを持ち出して。「ロックと言えばカリフォルニア、ハリウッドだ!」みたいな。それでカリフォルニアの学校に行きたいと思ったんです。
テネシー州は、本当に田舎でした(笑)日本では、僕は夢も希望もない、テキトーにやっていればいいや、という感じだったから、そこで初めて、そういう田舎に送り込まれて、ある意味ラッキーだったのかな、と思いました。初めて自分について考えさせられた、本当に。「これから自分はどうしていくのか」と。英語ひとつしゃべれない、友達も一人もいない、遊ぶ環境もない。
でも、自分は意外とあきらめが早い方なんです。あきらめて日本に帰るとか、そういうあきらめじゃなくて、「もうこの環境でやっていかなくちゃいけないんだ」とポジティブに考えて、「楽しくないなら楽しくするように頑張ればいい」と思いました。結局、テネシーには1年半いました。


「何でオマエみたいのがいるの?」

「プロになる!」と決断するのはすごく難しかったです。やっぱりすごい厳しい世界だと思っていたし、コンプレックスも強かったから・・・幼少の頃からやっていた方がいいとか、そんなものじゃないとは分かっていたんですけど、それでも周りにはすごい人がいっぱいいるじゃないですか。昔からやってて、すごくうまくて・・・僕なんか18の頃に真剣にやり始めて人より遅れをとって。だから決断するのはすごくキツかったです。でも決めてからは「やるしかない」って思うからいいんですけど、その決断をするまでがすごくキツかったですね。
僕が行ったのは、カレッジと専門学校です。専門学校は、ロサンゼルス郊外のパサデナにあるLAミュージックアカデミーでした。そこのドラム科で1年間勉強させてもらいました。
僕にとってはその学校が救いだったんですよね。その学校はLAでは上手い人とかドラムおたくみたいな人が全米から集まってくるし、日本からも上手くなりたい人が集まってくるような所だったんですけど、入学当初は僕なんて、「何でオマエみたいのがいるの?」みたいな。でも、そんな中でもガムシャラにやっていたら、先生だけじゃなく周りの人も結構助けてくれて、それで少しずつ自信みたいなものが付いてきました。

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音楽は「人間力」が大事。

こっちの人の方が確かにソウルフルにプレイします。でも日本人だって、日本人の良いところもあれば、素晴らしい日本人の心もあると思うんです。結局、音楽って僕の中では、聴いてくれる人がノリノリになれるっていうことが音楽なわけだから、人が元気になるというのがまず第一条件なんですよね。それを考えると、上手いだけではだめだ、と思います。やっぱり「人間力」、あとは全て。聴いて良し、見て良し、要するにエンターテインメントですよね。そういうところで勝負できればいいなと思っていたりするんですけどね。
上手い人なんてゴマンといるわけじゃないですか。そんな中で、僕が誰かと一緒にバンドをやろうと思って、ギターでもベースでも何でもいいんですが、すっごい、もうあり得ないくらい上手い、でも人間的にあんまり良くない。威張りくさってて、チームワークもなくて、自己中心的で・・・そういう人とは、その人がどれだけ上手くても一緒にやろうとは思わないですからね。そういう人は結局人を寄せ付けないですよ。どれだけ上手く弾いていても、人間の心が感動するのは、人間の心が心を感動させるわけで、テクニックとかじゃないですから。
練習するとか、そういうものはミュージシャンとしてやっていくならもう当たり前のことであって、ずっとやっていたらいずれはみんな出来るようになるんですよ。じゃあ、あとはどこで勝負するか、自分は何をやっていきたいかと考えたら、僕は人を感動させたい。それだったらもっと人間としての自分も磨かなきゃいけないし、もっといろんなことを経験しなきゃいけないんだろうと思うし。
だから全てが練習です。例えば今、リトル東京にあるラーメン屋で働いていますけど、それも一つの人生勉強だと思うし、そういう意味では楽しいですね


みんな夢を持っていて、お互い尊重し合える、
そんなアメリカがすごく好き。

アメリカの好きなところはやっぱり、特にLAは本当にいろんな人種が集まっているから、本当にいろんな意見もあればいろんな音楽も聴けるというのが僕は好きです。結構誰とでも、気軽に意見を交換しやすいし。あとは何をやっていても、自分の好きなことを本気で、心を込めてやっている人間に対しては、みんな結構応援してくれる、というところですかね。
だからアメリカは、もっとやりやすい。みんな夢を持っていて、そういう人たちが気軽に話もできて、みんなで尊重し合える。アメリカのそういうところがすごく好きなんです。
強いて嫌いなところと言ったら、レイジー(怠惰な)なところかな(笑)やっぱり日本にもアメリカにも、良いところと悪いところがあるんですよね。日本の細やかさや礼儀、そういういう「美」もすごく好きなんです。こっちは何か、テキトーにやっている感じがどうしてもしてしまう。
でもそれも、アメリカの良さなんですよね。だからあんまりアメリカの嫌いなところはないです。


次世代に良いものを残せる人に。

僕はやっぱり日本人だし、日本がより良い国になることに協力したいという気持ちはすごくあります。学んだことは持って帰って役立てたいというのがすごくあります。日本にいて、世界に出れない人もいっぱいいますから。もちろん僕みたいな人もいると思うんですよね。例えば「オレもアメリカに行って、同じような考えがあるんだよ」っていう人たち。そういう人たちと集まって何かやりたいですね。将来的には下の世代に良いものを残せるような人になりたいと、すごく思います。だから今はこっちでたくさん吸収したいです。
本当にイイなと思ったんですよね、こっちの人間関係の在り方が。アメリカでの人間関係の在り方が、もっと日本に浸透すると本当にいいなと思うし。確実に日本も、企業とかの中でもいろんな意見を許容する必要が出てくるし、世界中がそうなってきていますから。


知った時の喜びを。

日本に帰るまでの間に、いろんな音楽を聴きたいし、もっともっと音楽を勉強したいし、めちゃめちゃ練習したいです。他にもいろんな所に行って、音楽に限らず全てのジャンルの人とコミュニケーションをとりたいですね。
今年(2007年)4月にもアリゾナに行ったんですけど、その時もネイティブアメリカンの町があって、そういう所に行ってその人たちが考えていることを聞いてすごく感動しました。「そんなことを考えて生きているんだ!」と分かると、どんどん貪欲に知りたくなるじゃないですか。ある程度年をとってくると、いろんなことを分かったような感覚に陥るけども、やっぱり「知らないことっていっぱいあるんだな」って思いました。知らなかったことを知った時の喜びを、もっともっとそれを追求していきたいと思います。そこが多分「人間力」につながっていくのかなって気がします。
だから、一生勉強していたい。「もう達成した、もういい!」ってなった時がもう終わりなんですよね。そこから伸びることもないでしょうし。僕もそうですけど、何か一つ、今まで出来なかったことができるようになったとしても、それは一週間もしたら、普通のことになっちゃいます。だから一生楽しみたいと思ったら、一生努力しなきゃって思います。






宮尾さんにとって、ロサンゼルスって何ですか?

スピリチュアルな場所です。

いろんな人種がいて、いろんな人とつながっていられて、宗教だっていろんなものがあって、
そんな中でも皆がつながっていける。そういう中から、僕はドラムを通じて学んでいます。
結局僕はドラムを通じて人間を勉強していると思うんですよね。
そういう意味ではスピリチュアルな場所です。いろんな魂をみんな持っていて、それを共有して学んでいける。
だからここはHomeです。いろんな所からみんなが集まって、何かを学んでいる、みたいな気がするんですよね。

ここはホーミー(Homey: 我が家のような、居心地の
良い)な学校ですね。



*映画・スポーツ・ショッピング・・・エンターテインメントあふれる大都会、ロサンゼルスの
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